相続とは?誰が何をどれだけ貰える?基本を司法書士学生がわかりやすく解説

相続の基本を解説する図解イラスト 民法

はじめに:相続は、誰もがいつか直面する「自分ごと」

「相続」と聞くと、なんだか難しそう、自分にはまだ関係ない、と思っていませんか?

こんにちは!司法書士を目指して勉強中のMaecciです。

実は、相続は誰もがいつか直面する可能性のある、とても身近な法律問題です。大切な家族が亡くなった時、その財産がどうなるのか、借金があったらどうしよう…と、いざという時に慌てないために、基本的な知識を持っておくことは非常に重要です。

この記事では、法律の勉強を始めたばかりの方や、相続について全く知識がない方でも理解できるよう、以下の3つのポイントに絞って、相続の基本をわかりやすく解説していきます。

•誰が相続できるのか?

•何を相続するのか?

•どれだけ相続できるのか?

この記事を読み終える頃には、相続の全体像がきっと掴めているはずです。一緒に学んでいきましょう!

そもそも「相続」とは?

まず、相続の定義から見ていきましょう。

相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利、義務を、その人の家族など(相続人)が引き継ぐことを言います。

ここで、2つの重要な言葉が出てきました。

•被相続人(ひそうぞくにん):亡くなった人のこと

•相続人(そうぞくにん):財産などを引き継ぐ人のこと

簡単に言うと、「被相続人から相続人へ財産が引き継がれること」が相続です。

誰が相続できるの?「法定相続人」の仕組み

では、具体的に誰が「相続人」になれるのでしょうか?

これは、誰でもなれるわけではなく、民法という法律で厳密に決められています。これを法定相続人(ほうていそうぞくにん)と呼びます。

法定相続人には、順位があります。

順位対象者ポイント
常に配偶者夫や妻は、常に相続人になります。
第1順位子どもが最優先です。子が既に亡くなっている場合は、その子(孫)が代わりに相続します(代襲相続)。
第2順位第1順位の子がいない場合に、親(父母)が相続人になります。親も亡くなっている場合は、祖父母が相続します。
第3順位兄弟姉妹第1順位の子も、第2順位の親もいない場合に、兄弟姉妹が相続人になります。

ポイントは、上位の順位の人が一人でもいれば、下位の順位の人は相続人になれないということです。

例えば、亡くなった人に配偶者と子がいれば、相続人は「配偶者と子」だけで、親や兄弟姉妹は相続人にはなれません。

何を相続するの?「相続財産」の種類

次に、何を相続するのかを見ていきましょう。

相続する財産は、大きく分けて2種類あります。

1. プラスの財産

一般的にイメージされる「財産」はこちらです。

•不動産:土地、家、マンションなど

•預貯金:銀行預金、郵便貯金など

•有価証券:株式、投資信託など

•自動車

•貴金属

•その他:貸付金、著作権など

2. マイナスの財産

ここが非常に重要なポイントです。相続は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継がなければなりません。

•借金:住宅ローン、カードローン、奨学金など

•未払いの税金

•損害賠償義務

もし、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合は、「相続放棄」という手続きを検討することもできます。

どれだけ貰えるの?「法定相続分」の計算方法

では、相続人が複数いる場合、それぞれの取り分はどのようになるのでしょうか?

これも法律で割合が決められており、法定相続分(ほうていそうぞくぶん)と言います。

具体的な家族構成を例に見ていきましょう。

ケース1:相続人が「配偶者と子」の場合

•配偶者:1/2

•子:1/2 (子が複数いる場合は、1/2を均等に分けます)

例:配偶者と子2人なら、配偶者1/2、子A 1/4、子B 1/4

ケース2:相続人が「配偶者と親」の場合(子がいない)

•配偶者:2/3

•親:1/3 (父母ともに健在なら、1/3を均等に分けます)

ケース3:相続人が「配偶者と兄弟姉妹」の場合(子も親もいない)

•配偶者:3/4

•兄弟姉妹:1/4 (兄弟姉妹が複数いる場合は、1/4を均等に分けます)

【重要】遺言書がある場合はどうなる?

これまで説明してきた「法定相続人」や「法定相続分」は、あくまで遺言書がない場合のルールです。

もし、被相続人が遺言書を残していた場合は、原則として遺言書の内容が最優先されます。

例えば、遺言書に「全財産を愛人に譲る」と書かれていれば、その通りになります。

最低限の取り分「遺留分」

しかし、それでは残された家族があまりにも可哀想ですよね。

そこで、法律は兄弟姉妹以外の法定相続人に、遺留分(いりゅうぶん)という最低限の取り分を保証しています。

もし、遺言書によって自分の遺留分が侵害されている場合は、財産を受け取った人に対して「遺留分を返してください」と請求することができます(遺留分侵害額請求)。

まとめ:相続の基本を知って、いざという時に備えよう

今回は、相続の基本について解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

•相続とは、亡くなった人のプラス・マイナスの財産を、家族などが引き継ぐこと。

•誰が相続するかは、法律で順位が決まっている(法定相続人)。

•どれだけ相続するかは、法律で割合が決まっている(法定相続分)。

•遺言書があれば、原則としてそちらが優先される。

•ただし、兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の取り分である遺留分が保証されている。

相続は、時に家族間のトラブルの原因にもなり得ます。しかし、基本的な知識を持っておくことで、冷静に対処し、無用な争いを避けることができます。

この記事が、あなたの「いざという時」の助けになれば幸いです。

相続は非常に奥が深く、ケースバイケースで対応が異なります。もし実際に相続問題に直面し、不安なことや分からないことがあれば、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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